デンマーク研修報告・森の幼稚園
デンマーク 森の幼稚園についてご報告します。
まず、デンマークの教育制度ですが、
幼児教育、初等及び中等教育、高等教育、上等専門教育と別れていまして
幼児教育は(=就学前教育として)
・ 0~3歳 保育園・委託保育(保育ママ※1という)
・ 3~6歳 幼稚園
となっています。
保育ママ(家庭的保育委)とは
施設型保育の不足を補完することを目的としたサービスで、自宅で4~5人までの子供を保育します。保育者には特別な資格は必要ありませんが、決められた条件を満たす必要があります。現在は、施設型保育園にはない家庭的な環境を子供に与えようと、保育ママを選ぶ親が増えています。
デンマークにおける幼児教育の特徴は、「社会性の育成」に重点を置いている点です。
原則として、読み書きを教えない
遊びを通しての対人関係の育成
自由と責任
統合教育の実践(障害児もともに生活)
幼稚園学級(0年生学級、6~7歳)
希望があれば読み書きを教えてもよい
「森の幼稚園は、1950年代半ばにデンマークで誕生しました。
子供たちは、ほとんどの時間を森で過ごすため「表現力が豊か」で「体が丈夫」に育つと言います。
こうした自然に重点を置く幼稚園は現在デンマーク国内に数多くあり、名称も「森」だけではなく、
自然の中で遊ぶ「自然幼稚園」、自然の中で遊ぶことを運動と位置付ける「運動幼稚園」、
昔の大きな農場を使って動物を一緒に飼いながら自然と親しむ「農業幼稚園」など多様です。
デンマーク ボーゲンセにある森の幼稚園を見学してきました。
ここの保育園は、80名の子供たちと10人の先生がいるとのことでしたが、園内が広々していてとても80人がいるとは思いませんでした。
受け入れ時間は朝6:00~17:00まで
送迎バスは無く、親が車で送り迎えをします。20分(20㎞)かけて通う人もいる。
お迎えが17:00を過ぎる人はいない。
働いている職員が残業になるので、17:00は厳守が当たり前とのことです。
ここの建物は、昔の農家を改装しています。
園には周りを囲む塀はなく、町の人たちから子供たちが何をしているのか見えるようにしています。
基本的に子供の教育は親の責任なので、親も積極的に園の行事等に参加します。
年に2回、すべての親が参加し施設の遊具等を整備します。
幼稚園にあるブランコを除いてその他すべて親たちの手作りである。
建物の壁に絵を描いてくれたのも保護者の方
以前は、家畜小屋だったそうです。
保護者と町の人々が補助金を利用しバーベキューセット・小屋を建築していました。
親の親たち(おじいちゃん、おばあちゃん)も呼んで3世代でバーベキューを楽しむそうです。
敷地内には職員がめったに来ることが無い、子供たちが自分で考える静かな場所があります。
森の中で遊んでいると当然怪我をしますが、子供たちは自分で痛い思いをして何が危険かをわかっていきます。
子供が怪我したことに対して親たちは、自由に遊んでいた結果だから文句は言いません。
幼稚園では様々な動物や鳥を飼っているが、それらを自分たちで食べることもあります。
鳥の場合は、首を落として殺し羽をむく作業を通して、これまで動き回っていた可愛い動物たちが、普段自分たちが食べる鶏肉になっていく過程を知るようになる。
知ること。体験する事が大事であると考えています。
もうすぐ収穫祭があるので… 七面鳥も…
大きな動物は、屠殺(とさつ)場に連れていきます。
子供たちは屠殺場を理解し、あらゆる内臓を実際に見るようにしています。
中には、食べることに反対する親もいるそうです。
鳥の糞は時々保健所で検査を行います。
職員全員が食品管理衛星の教育を受けており、保厨房専門の職員はいません。
昼食作りは子供たちも交代で参加します。
参加することで皮の剝き方、手の動きを覚えることができます、友達と一緒に作る連帯感が生まれてきます。
包丁の使い方も覚えるし、扱いを間違えると危ないということも身をもって知ることができる。危ないからといって使うのを止めさせると何も覚えることができない。
ただ提供される食事と比べると、子供たちが得ることが大きく違います。
タブレットなどでゲームを楽しむスペースもある。
園長先生は反対であるが時代がそうなので無視することはできないそうです。
敷地を出ないように言っているが、塀が無い広い森の保育園で子供が見当たらなくなることはしばしばあるそうです。
ただしほとんどの場合、他の子どもたちに聞くとどこにいるかは知っているし、エリアは限られている。
園長先生は「森の中で一人で過ごすと寂しさを知ることになるだろう」とおっしゃっていました。
デンマーク森の幼稚園の幼児教育は、様々な体験や自然を通して自立を促し、
読み書きや知識を覚えるさせることはせず、まず、人としての基本的な部分の教育に力を入れ、
社会性を身につけ、自己決定ができる子供を育成していることがわかりました。
何より、それ等の活動を支える保護者や社会の考え方が熟成されているからこその、保育園のスタイルだと思います。
㈱バイタル 企画広報室の石原さんが作成した、ドキュメンタリー記録”デンマークの風に吹かれて”もご一緒にご覧ください。






















