認知症初期集中支援チームの活動と取り組みについて
「認知症になっても住み慣れた自宅で生活がしたい…。」誰もが願う事だと思います。
そのために、長崎市が行っている「認知症初期集中支援チームの活動と取り組み」について認知症疾患医療センタ―の宮川由香先生に講義をしていただきました。
講師;医療法人昌生会 出口病院 認知症疾患医療センター 作業療法士 宮川由香先生
認知症初期集中支援チームは、厚労省によりオレンジプランの中に組み込まれている事業です。2025年には認知症の方が700万人になるのではといわれています。住み慣れた地域で長く暮らせるように初期対応が重要とのことで開始された事業です。
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長崎市の取り組み
この事業は国の認知症施策である新オレンジプランの中に位置づけられた事業であり、平成30年には全国的に制度化された事業です。
長崎市は平成28年10月よりモデル事業として開始され、現在100事例に対して介入が行われてきました。
認知症は、気づいてから、診断に至るまでに時間がかかり、そういった早期に色々な困り事が出てきて、対応が難しくなる傾向にあります。診断や十分なケアが行われず危機的状況を招いたりすることが挙げられます。認知症初期集中支援チームは、そんな状況を回避し、認知症になっても住み慣れた地域で安心した生活が続けられるよう、早期の段階を支援します。今後は地域ごとでチームが編成される予定という事ですので、より相談がしやすくなると思われます。
対象となる人
・40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人で、以下のア、イのいずれかの基準に該当する者とする。
ア 医療サービス、介護サービスを受けていない者、または中断している者で以下のいずれかに該当する者
①認知症疾患の臨床診断を受けていない者
② 継続的な医療サービスを受けていない者
③ 適切な介護保険サービスに結び付いていない者
④ 診断されたが介護サービスが中断している者
イ 医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している
方法として
方法としては、アウトリーチ(本人のところへ出向き)を行い、本人、家族について生活場面でアセスメントを行い、課題を探ります。長崎市の事業ですので、実費は発生しません。
そのため、診断や処方箋は出ません。
適切な医療につなげるためのきっかけになることが目的です。
目標達成期間の目安は6か月以内です。
ほとんどのケースは1~2か月程度で目標達成します。
目標:適切な医療・介護に繋がる、権利侵害の解決、等。
→これらが解決したら、初期集中支援は終了します。
かかわる皆さんと一緒に話をしながら終了の時期は決定します。
チームの役割
認知症の程度のみでなく、家族の介護負担も評価し、サービスへつなげたり、主治医と連携したりして、支援していきます。
ご家族への関わりも行っていきます。認知症は環境要因が大きく、対応によっては行動障害へつながっていきます。ご家族の話もしっかり伺いながら支援を行います。
メンバー構成はサポート医・認知症地域推進員、医療員がおり、それぞれに役割があり、チームで将来を見通したかかわりをしています。
初期集中支援チームから、ケアマネジャーに橋渡しをしていくことも大切な役割であり、その人が住み慣れた地域で暮らせるように、本人・家族と一緒に介護サービスを検討していきます。
最後に…
認知症になっても、住み慣れた地域で暮らせるサポート体制があるということは、とても心強いことだと思います。また、私達ケアマネジャーにとっても、相談できる場所があり、専門的アドバイスを頂けるのは本当に心強いです。
今後も学んでいき、各関係機関と連携を行っていきたいと思います。
お忙しい中、私たちの為にご講義してくださった宮川由香先生、ありがとうございました。