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ゆめカステラプロジェクト発 「なめらかすてら」製品化への道のり

ゆめカステラプロジェクトとは

2016年夏、長崎大学病院摂食嚥下リハビリテーションセンターに勤務する三串伸哉が自分の専門とする摂食嚥下障害に対して社会的な介入をしたいと考えた。先行例として「京滋摂食嚥下を考える会」が介護食を地域の食文化へ導入する様々な活動を行っていた。

長崎でも伝統的な食物を食べやすく加工する過程で地域の様々な人々と交流し、摂食嚥下障害への啓蒙活動が出来ればと考えた。そして長崎の代表的な食物であるカステラがケアマネージャー(H18)や介護福祉士(H22)の国家試験において嚥下困難な食物として取りあげられていたことを受け、嚥下しやすいカステラを作ろうと思い立った。

時期を同じくして社会医療法人春回会(長崎市宝町)で2025年問題にむけてSG2025(勉強会)が活動を開始しており、2016年12月21日の勉強会の場で参加者を募った。

翌年1月26日より月1回の会議を開催し、参加者より募った名称の中から第3回の会議にて「ゆめカステラプロジェクト」を会の名称とした。
ゆめカステラプロジェクトでは、高齢者や摂食嚥下障害を有する要介護者にとっても食べやすく、安心安全な長崎の伝統的な食品を作り発信することを軸に、様々な専門職や摂食嚥下障害を持つ患者やその周りにいる人々が同じ目線で交流し、摂食嚥下障害への理解や対応法を地域に広め、摂食嚥下障害に対応できる地域を作ることを目的としている。

 

【摂食嚥下障害とは】

食べ物を認知、咀嚼、嚥下する機能の障害。脳卒中などにより障害されると食物が気管に入ってしまい(誤嚥)、肺炎や窒息の原因となる。肺炎はがん、心疾患に続いて日本人の死因3位となっており、高齢者の肺炎の多くが誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)である。

また年間交通事故死者数よりも多い4000人強が窒息死と認められており、雑煮の餅を筆頭に注意が喚起されている。長崎県には約15000人の摂食嚥下障害患者がいると推計されている。

 

 

ゆめカステラプロジェクトの参加者

医療介護従事者のみで始まったが、SNSや参加者の繋がる人々に参加を呼びかけていった。14回会議(2018.5.16)時点ではのべ会議参加人数300人、1度でも会議に参加した人は80人となった。会議を重ねるにつれ、カステラの製造者やパティシエ、患者、学生、教職員、広告・デザイナー、公認会計士、新聞記者、食品メーカー、販売流通などなど様々な人々がプロジェクトに参加している。

 

 

 

教育活動

会議開催時に摂食嚥下リハビリテーションの専門家や栄養士により摂食嚥下障害や食べやすい食品についてレクチャーを行ってきた。レクチャーを繰り返すことで参加者1人1人に摂食嚥下障害の知識がついてきた。今後は製品のリリースや販促イベントを介して、地域で摂食嚥下障害の情報を発信し、認知度を上げていく。

 

 

なめらかすてら

カステラは比較的水分含有量が少なくスポンジ状であり、口腔が乾燥しやすい高齢者や摂食嚥下機能が低下した患者にとって不向きな食品と思われている。長崎ではカステラを牛乳に浸して食べる人がいるが、水分の少なさへの対処法とも思われる。

ゆめカステラプロジェクトではその名に冠するように、第一弾として「障害の有無や年齢に関係なく全ての人に食べやすく、美味しい、夢のようなカステラ」を作り始めた。
開発当初は医療介護従事者が参加者の大半をしめていたため、その中でも栄養士を中心にカステラにとろみを付けた牛乳をしみこませるなど、案を持ち寄り試行錯誤していたが、製品化につなげていくには限界を感じていた。そのため並行し専門家の意見をプロジェクトに入れるためにカステラ製造者に声をかけ、参加を募っていた。幸い参加者の繋がりに恵まれ、カステラの職人や製造会社がプロジェクトに加入し、製品化にむけての道筋が立てられた。

会議での試作、試食を繰り返し、2017年11月にモニタリングへと移行した。参加者の勤務する通所施設で試食を行い、味や食感、見た目、食べやすさについてアンケートを実施した。

結果は良好で多くの通所施設利用者より高い評価を得られた。

その後も栄養士の集まりや通所施設でのモニタリングを行いながら完成度を上げてった。また、製品化後の流通を考慮すると冷凍処理をほどこすためにその解凍法も検討された。

 

製品化に至っては現場の声を取り入れながら栄養成分を調整した。カステラはもとよりエネルギーが比較的高く、卵からタンパク質を摂取出来る。その他に抗酸化作用のあるセレンなどの微量元素が含まれる。

 

更に、食べやすくするために含ませた寒天をメインとする材料でもエンゲルギーや蛋白が追加され、栄養量やタンパク量が不足しがちな高齢者にとって毎日の食事に追加して食べることで、栄養不足によるフレイルやサルコペニアを期待できる。また摂食嚥下障害に対応した製品規格としてスマイルケア食やUDF(ユニバーサルデザインフード)、嚥下学会分類2013などが現在使用されている。

 

画像引用元:農林水産省

 

参照元:日本介護食品協議会

 

なめらかすてらの成分分析を行った結果、スマイルケア食青・黄3、UDF区分3に申請可能な物性で、嚥下学会分類2013ではコード3に類する物性であった。それらは舌でつぶせる程度の軟らかさであり、製品の飲み込み易さの根拠となる結果であった。
試作も完成に近づき、製品名とパッケージデザイン案も会議で決定された。特に製品名は34もの案が参加者より集まり、決選投票の上「なめらかすてら」に決定された。パッケージデザインも同様に複数の案より選考され、文字やレイアウトが細かく議論され完成となった。

 

 

メディア掲載

長崎新聞、長崎経済新聞に「ゆめカステラプロジェクト」の活動が掲載された。

 

画像引用元:長崎新聞

 

参照元:長崎経済新聞

 

株式会社メディカルネットワークは、ゆめカステラプロジェクトに参加しています

 

株式会社メディカルネットワークは、微力ながら、このプロジェクトに参加させていただいております。

次回は、実際に参加させていただいたケアマネジャーのお話を掲載します。

 

 

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